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第22章 云いたかったこと


「…!?ち、蝶!?…ああああ悪い!!強く掴みすぎて…怖がらせ『んで…』?な、なんだ?悪い、聞こえなかったからもう一度…ッ」

目も見れなくて、俯いた瞬間に彼の腕が動揺したように反応した。

『……なんで、中也さん私のこと怒らないの…っ?こんなに迷惑かけて悪いことしてるのに…なんで…?なんで痛いことしないの…ッ、?』

「蝶…?」

『分かんない…っ、出てくる前だって、困ってたのに…なんで嫌いって言わないの…?とっととどこにでもやっちゃった方が、中也さんだって幸せに____』

「落ち着けって!!!」

はっと彼の声に口を止めて、固まった。
すると何を思ったのか、私の顔を覗き込むようにまた彼が膝をつく。

こんなことだって、させたくなんかないのに。
なのに見てもらえることが心底私には嬉しくて。

「…さっき言わなかったか?…俺は、お前が元気でいてくれることが幸せで…一緒にいてくれることが何よりも嬉しいって」

『!……で、も…私また迷惑ばっかりかけ、て…』

「かければいい…寧ろかけてくれるくらいが丁度いい。……織田が廊下でお前を見かけたらしくてな?…俺が返してやれなかったから心配になっちまったんだろ?」

きゅう、と胸が苦しくなる。
告白、とかそういうのじゃなかったけど。

それでも、私は馬鹿だから。
分からないから…言ってもらわなきゃ。

『…中也さん、は何も……蝶が、悪い子だからいけな…ッ!?』

突然、首元に回される腕。
膝立ちになって、私の首元に腕を回して抱きしめられる。

顔だって近すぎるくらいなのに、見えないから余計に胸がドキドキして。

『あ、…ッ、ぁ…あ、の…っ』

それと同時に、募る恐怖。
何、されるんだろ…何言われるんだろ。

誰のことも…この人のことだって、分からないのに。

「…蝶は悪くない…俺がまだまだだっただけだ。それに…お前がどんな悪さしても、どんな迷惑かけようともな…っ、?」

____俺はお前の事、この世の誰より大好きだよ____

呟かれた言葉は、望んでいたもの以上だった。
こんなこと、誰かに言われたのなんか…

どれだけ、聞きたかっただろう。
何年、何十年何百年…何千回死んできて、聞けただろう。

『ぁ、っ…ぅ…ッ、中也さ、ん…っ』

「…可愛らしいいたずらじゃねえか…かかってこいよ、お前が思ってる以上にしつこいぞ?俺は」
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