第22章 云いたかったこと

「おい糞太宰！！ここに蝶来てね「あ、保護者のお迎え来たよ」ああ！？…っ！蝶、良かった無事で…太宰の野郎になにかされなかったか！！？」

何かしたのは貴方です。

なんて言えるはずもなく、太宰さんの背中からひょっこりと顔を覗かせる。

『…な、何も……？』

「ならいい、こんなゴミ人間のところに行くならせめて俺と…蝶？…蝶、さん？」

『！！…あ、ああああ、私その…え、と……っ』

「蝶ちゃんこのままここにいると、すごい誤解されちゃうと思うけど？大丈夫？」

『ひえ！！？』

誤解…そう聞いて思いっきり動揺した。

「あ？誤解ってどういうことだよ？」

「え？このまま蝶ちゃんがこうしてたら、どこかの誰かさんが妬く上に蝶ちゃんに嫌われたんじゃないかって勘違いして、ややこしくなるんじゃな「蝶！！？やっぱり怒らせたか！！！？」…だああ、っ、違うって言ってるのに…」

『！？お、怒ってないです…！』

「！！！…よ、良かった…っ」

本気で安心して項垂れる中也さん。
私の心境の変化には全く気付かれてるような気配がない。

『…ち、中也さん……？』

「？どうした？とっととそんな奴から離れて帰りたいって？そうかそうか、とっとと帰ろう」

ダメだ、それしか頭にないなこの人。
……けどなんだろう、素直に嬉しい。

私に…こっちに来てくれって言われてるような気さえして。

思いこみすぎかなとも思うけれど、それでも。

『…わ、私…いても、迷惑じゃない……です、か…？…重く、ないですか？疲れないです…か…っ、？』

「あ？何言ってんだよまた…こんだけ見てて分からねえかお前？俺が迷惑だとか疲れるだとか思うような相手、代表的なやつがそこにいるだろ」

指さされた相手は…予想通りというかなんというか。
仲悪いらしいけど、本当のところはいいんじゃないのかと疑えてくる。

「ひっどいなぁ、これだからダメなのだよ君は。私の良さが分からないだなんて」

「いいか蝶？そいつは見た目と口ぶりがそれでも中身は屑だからな？最底辺の人間だ、ダメ人間の極みだ、覚えとけ」

『太宰さんそうだったの…？』

「そんなわけないだろう！？そんな奴の言う事間に受けちゃダメだよ蝶ちゃん！！」

『中也さん蝶に嘘吐かないよ』

「「！！」」

何故だか、二人ともが私へ向ける表情を柔らかくしたような気がした。