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第22章 云いたかったこと


朝食を済ませれば、朝から軽い運動。

私ももう筋力が戻りつつあり、中也さんに稽古をつけてもらう時もしばしば…そんな中。

「そういや蝶、お前…得意分野は体術以外っつってたな?…ナイフ術とかは得意ってことか?」

『え…あ、ああ……まあ、一応』

「…なら、やってみるか?俺が相手に……蝶…?」

『……へ…?…あ、相手……って、中也さん、相手に…ですか…っ?』

唐突な、ナイフ術を取り入れた鍛錬…というより組手の提案。
こんなに贅沢なことなどないのだろう…ないのだろう、けれど。

「?どうした?顔色悪……!…ああ、やっぱナイフはやめておこうか、お前がいざって時にだけ使えりゃそれでいいし」

『…はい』

何故だか取りやめられる提案。
私からしてみればありがたいものだった。

まだ、刃物は得意じゃない…しかも、それをあろうことか中也さんに向けるだなんてこと。

「じゃあ刃物以外に得意な武器でもねえか?あるなら、そっちの訓練もし始めていい時期だと思うんだが」

『刃物、以外…あるんですか?』

「これでもここ、マフィアの拠点だぞ?大抵のもんは揃ってる」

『…じゃ、じゃあ……』

銃が使いたいです。

俯きがちになって口にした。
六歳の人間の言う台詞でないことは重々承知。

それでも私の、一番とも言える特技はそれだったから。

それに、この世界においては私の他の得意武器を扱うより、銃の方が勝手が良さそうだったから。

「銃…俺は生憎、銃にはあまり詳しくなくてな……!一人、そこら辺に詳しい奴がいたな、そういや」

『!銃に詳しい人…?』

「お?…その顔は、随分と興味がありそうな顔だな?会ってみるか?」

良い奴だぞ、と言う中也さんに思わず頷いたはいいものの、結局人見知りが働いて、彼の後ろに隠れるように歩いていった。

そしてその人物のいるであろう執務室に着いたところで、中也さんが扉をノックする。

「俺だ、中原…入っていいか?紹介したい奴がいて…」

「どうぞ」

男の人の声…それも、少し年配気味の…?

入ってみて、一瞬でわかった。
この人…かなりの経験者だ。

白髪をオールバックにして、モノクルをつけている老紳士…というのが表現的には正しいだろうか。

「おや、そちらは……なるほど、噂の蝶ちゃんかな…?」

『!?…え、えと……っ』

「そう、こいつが蝶!可愛いだろ」
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