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第20章 家族というもの


「……で、何の用だ。手前あれ以上蝶にんな事ばっかりほざきやがったら「安心しなよ、分かってるとは思うけれど、私は彼女に泣かれるのはごめんだ…」…じゃあなんだ?一言素直に言えねえのか」

二人で話したい事があるって。

中也に私の意思はちゃんと伝わっていたらしい。
認めたくはないのだけれど、流石は元私の相棒だ。

「意地でも彼女には離れてもらわなくちゃ聞きにくかったからね…で、どうなの?君いつから気付いてたのさ、織田作の好意に」

「…蝶がうちに入るって決まった日さ。その時にはまだ何となくではあったがな…見てれば分かる。多分そうなんだろうって………それがどうした」

「ふぅん、かなり早い段階だったんだね…じゃあさ、あの子…それにいつから気付いてたと思う?」

「……は?蝶がか?…そういえばさっき、あいつ…」

知ってたような反応をして…

たらりと冷や汗を流す様を見て、ああ、やはり彼女の方が一枚上手だったのかと当然のように思った。

「…彼女、多分知ったのは最期の方だったのだと思うのだけれど……君、四年前のあの頃、何してたの?」

「!!………あいつが…自殺しねえよう止めるのに精一杯だったよ。…干渉しすぎてもダメだろうと思って……けどそれ知ってたって、あいつ…そうか、それで…」

「へえ、彼女自殺しようとまでしてたんだ?…織田作が死んだから自分も死のうって?無理だって分かってたのにやっぱりしようとしちゃうんだね、優しいあの子は」

「…………何が言いたい」

流石に挑発しすぎたかこれは。
私も別に、馬鹿馬鹿しいなどと思ってはいない。
ただ、気になる事があっただけだ。

だから、それを聞き出すためには彼女をここにおいてはおけなかった。
こんな言い回しを、あの子の前でしたくはない。

「馬鹿だなって思っただけだよ、どうせ死ぬことは叶わないって分かっているのに、死んだ織田作の後を追おうだなんてこと」

「…手前も分かってんだろ、あいつが今までそうやって生きてきたことくらい」

「ああ、勿論。だから余計にいい加減学習しないものかって思うよね…さっきのもそうだ。トウェイン君と別れる時に、彼女また考えたんだろう?死んだら会えなくなるのに…また自分だけが独りになるのに」

「だろうな」

「………君、あんな状態のあの子を大人しくさせる方法、いつの間に身に付けたんだい?」
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