第29章 特別編 天は大野のケツよりも青く
「…翔ちゃんに、何言ったの?」
「え?」
にやにやしながら座ってる和也は俺を見た。
ぐいっと今度は、和也のキャップのつばを下げてやると、笑いだした。
「べっつに…何も言ってないよ」
「言ったんじゃねえの?あん時さー…」
そう。幕張での総合リハの2日目の夜。
和也と翔ちゃんは同じ部屋で寝てる。
なんかいろいろ話したって言ってたけどさ。
詳しいことは聞いてなかった。
「まあ、言ってはないな」
「あ?じゃあ何したんだよ」
こいつは頭がいいから、俺よりもきっと的確なことが言えると思ったし、翔ちゃんの気持ちだって百倍わかるって思ってた。
前に、猛獣みたいになってた潤を一瞬でなだめたりしたし…
だから、きっとあの日だって、俺なんかよりもいいこと言ったんじゃないかなって思ってたんだ。
だってあの日から、翔ちゃんどんどん素直になってくるし。
ちょっとぐっとくるくらい、ラブリーなんだよな。
くいっとキャップのつばを持ち上げて、和也は天井を見上げた。
「セックスしただけだよ」
「…は…?」
なにを…言ってるんだこいつは…
「ぶふぁっ…」
俺の顔を見た和也は笑いだした。
「な、なんちゅー顔…」