第15章 タイガーリリー
そっとニノの身体が離れていく。
ぬくもりが恋しくて思わず手を伸ばす。
「大丈夫…ね?どこにもいかないから…」
「ニノ…」
「俺達には、時間はたっぷりとある」
にっこり笑うと、俺の口の周りを指で拭った。
「好きだよ…」
「え…?」
「忘れちゃってると思うから…ちゃんと言っておくね…?俺は、翔のことが…好きだよ」
「ニノ…」
「覚えておいてね…忘れないでね…?」
ぎゅっとニノが抱きついてくる。
その体は震えてて…
「ごめん…ニノ…」
「謝らないで…翔…」
そっとその体を抱きしめると、ぎゅっと腕に力を入れた。
「ねえねえ、これは?覚えてる?」
カバンの中からニノが出してくる思い出をまた二人で眺めた。
いろんなものがあって、懐かしかった。
ニノの写ってる写真をみると、その時の風景が脳裏に蘇るようだった。
でも、ニノのところだけすっぽりと記憶が抜け落ちていた。
ため息を付いて写真をテーブルに戻すと、ニノが俺の肩に頭を載せた。
「…副社長は早く思い出させろって言ってるけどさ…俺は焦んなくていいと思ってるよ…」
「ニノ…でもそういうわけには…」
「だってさ、思い出せないのは俺のことだけなんだからさ、なんとかなるよ」