第13章 漆黒
なんで…男なんだよ…
なんで…
俺なんだよ
ぐいっとまた髪を引っ張ると、口から出た。
「…なんで…?」
涙と唾液で光る顔…
ぐいっと手のひらで涙を拭うと、背中を向けた。
「もう、いい…」
「なんで…?ねえ…痛かった?」
「違う…もういいから…帰れよ…」
「嫌…ねえ…どうしたの…?」
「いいからっ…もうっ…」
縋ってきた手を振り払った。
どさりと床に崩れ落ちる音がする。
振り返ると、呆然と俺を見つめる瞳。
「なんで…?俺のこと、嫌いになったの…?」
「違う…」
「じゃあ、飽きたの…?」
「違うっ…」
「なんで…?ねえ、教えて…?」
絨毯の床を這うように近づいてくる。
「わかった…廊下でも外でもいいから…ね?シよ?」
「…なんでだよ…」
「お願い…抱いて…?」
ぐっと俺の足にしがみつくと、そのまま泣き出した。
「お願い…嫌いにならないで…」
静かな嗚咽が室内に響いた。
「一人に…しないで…」
掠れた声…
そこで、俺の頑なな心は、崩壊した。
「な、んでだよ…なんで俺なんだよ…」
「え…?」
「俺は、あんたじゃなきゃだめなのに…」
「どうしたの…?ねえ…」