第11章 グレイscene4
「いらっしゃいませ」
渡部さんに聞いて初めてやってきた居酒屋。
文京区ってわりかし学校やドームがあるイメージなんだけど、ホームページを見たら隠れ家的ないい感じのところだったから、予約を入れた。
学生時代の友人数人と久しぶりの飲み会だった。
飲み会と言っても友人のうちの一人が結婚するから、その二次会の打ち合わせ。
「忙しいのに、わりいな櫻井」
「いいって。今しか時間ないから、後は任せることになるし、頼むな?」
「任せとけよ」
ビールで乾杯しながら、半年先の二次会の打ち合わせをした。
「わりい、ちょっとトイレ」
打ち合わせも終わって、程よく腹も膨れたところでトイレに立った。
「あれ…?」
隣の個室から聞き慣れた声。
通りかかった店員さんに聞いてみたら、やっぱり…
「翔くん!」
店員さんが声を掛けてくれて、中からハイテンションな潤が出てきた。
「うっそ!まじで!どうしたの!?」
「いや、たまたま渡部さんに教えてもらって…なに?今日は共演者さんと飲み会なの?」
「うん!中打ち上げなの!ちょっと、挨拶して?」
「えっ…なんで…」
「だって、主題歌!ほら…!」
強引に腕を引かれて個室に押し込められた。