第11章 グレイscene4
今年もまた夏が巡ってきた。
カズヤは来年、ハーバードに留学することが決まっている。
その準備にこれからの一年は慌ただしくなる。
東大と留学センターを行ったり来たり、書類も山程…
うんざりするほどやることがある。
「翔!これも!」
「まだあるのかよ…」
ダイニングテーブルに書類を目一杯広げて、翔さんとカズヤは頭を突き合わせている。
「なんではんこ!?ハンコってそんなに大事なの!?」
「おまえなあ…ここは日本なんだぞ…」
「こんなのサインでいいじゃん!」
「だから、ここは日本で、おまえの留学費用は半分お国から出るんだからしょうがないだろうが…」
カズヤの保護者は俺達だ。
あ、正確に言うとカズヤはもう成人しているから、保護者というよりは保証人といったところか。
だけど、俺達は血縁関係があるわけじゃない。
俺達の収入証明とか要るらしいが…
「ねー…俺達の晩飯は…?」
相葉さんがキッチンにいる俺に話しかけてくる。
「さあ…あれが終わるまではありつけないんじゃない…?」
「こんなに旨そうな匂いしてるのに我慢できねえよぉ…」
そういうと、洗い物をしている俺を後ろから抱きしめてきた。
「旨そうな匂い…」
「俺かよ…」
「食べちゃうぞ~」
「やめなさい」