第11章 グレイscene4
「録画してあるんだから、リオにいく機内でチェックするんでしょ…?今は、コンサート中だから、寝よ?」
「でもっ…」
事前にこうなることがわかってたから、念入りに準備して、リオへの移動時間もムダにしないつもりで、予定を組んでた。
この2日チェックしきれない競技は全部、ZEROのスタッフさんに言って、メディアに落とし込んでもらって飛行機の中で見る予定にしてた。
「翔…焦る気持ちはわかるけど…今は…」
くいっと雅紀が俺の顎を指で持ち上げた。
「俺を見て?」
雅紀の少し微笑んだ顔が俺を見つめていた。
その顔を見ていたら、だんだん力が抜けて…
手からリモコンを取り上げられると、雅紀は軽々と俺を抱き上げた。
「ちょっと…雅紀!」
「さ、もうベッドいこ?」
「えっ」
「だってすぐリオいくでしょ?だから今日は寝かさないからね?」
「ちょっ…待て!おまっ…寝るって言っただろ!」
「だから…運動してから寝ようね?」
にっこりと、邪気のない笑顔にノックダウンされた。
優しく、優しく雅紀に抱かれた俺は何も考えずに眠りについた。
翌朝起きてみたら、雅紀のほうが疲れた顔してて…
「翔ちゃんに生気吸い取られた…」
「ふ…ごちそうさま」
そう返すと、にっこり笑って雅紀は俺を抱き寄せた。
「ん…翔ちゃん、いい笑顔。今日もがんばろうね」
ぎゅっと俺も雅紀を抱きしめ返した。
「うん。雅紀…ありがとうな…」
つぶやいた瞬間、雅紀が俺に覆いかぶさってきた。
両腕を取られて頭の上でベッドに貼り付けられた。
すごく男らしい顔をして、雅紀が俺の事じっと見てる…
急に恥ずかしくなって顔だけ逸らした。
「俺を…見て…」
真剣な声に目だけ向ける。
頬を雅紀の温かい手が包み込んだ。
「愛してる…翔」
「雅紀…」
「なにかあったら、いつでも俺に頼るんだよ…」
喉に熱い塊がこみ上げてきた。
「ん…ありがと…雅紀…」
ぎゅうっと雅紀を引き寄せて抱きしめた。
「大好き…愛してるよ…」
ありがとう。
雅紀が居るから、がんばれるんだよ。
雅紀が見ててくれるから、安心してがんばれるんだよ。
だから…
ずっとずっと、傍に居て。
永遠に、そばに居て。
【END】