第11章 グレイscene4
横アリ初日。
「翔ちゃん、忘れ物ない?」
慌ただしくアリーナ入りした俺と雅紀は、とりあえず楽屋に急いだ。
潤は既に会場に入って調整を行っているという。
智くんとニノはもう楽屋で待機してた。
「遅い!翔さん!」
「わりい、どう?」
「もう潤くんぴりぴりっすよ…」
「悪かったな…俺ももうリオ行くからバタバタでさ」
「そうだよね。お疲れ、翔くん」
智くんがソファからこちらを見た。
「うん…でも、今日明日はファイナルだからね…気合入れるから」
「うん。よろしくね」
「頼むよ、翔さん」
二人が右手を差し出してきたから、がっつり握手した。
「翔ちゃん…」
雅紀が俺の肩を抱いた。
「ん?どうした?」
「肩に力入ってる…」
そっと耳元で言うと、肩をぽんぽんと叩いて離れていった。
…なんで、わかったんだろ…
正直、ここんとこスケジュール詰まり過ぎてて、ちょっと頭が混乱してる。
わかってたこととはいえ、体調崩したりもして予定通り行かないことが多くて。
それにオリンピックは既に始まってて、競技結果を追いかけるだけでも大変なものがあった。
そう、だけどね。
これはわかってたことだし、引き受けた仕事だ。
途中で投げ出すことはできない。