第11章 グレイscene4
最近、元気が無い。
俺の家に来るときは、相変わらず短いメッセージを送ってくる。
だけど、最近はそれもなくいきなり家に居たりする。
最初は雅紀が俺に油断を見せてくれてるんだと嬉しかったが、どうもそうじゃないらしい。
単純に忘れてる。
おかしい。
確かに雅紀は天然なところがあるが、こういうことはちゃんとやる。
それに、なんだか様子がおかしい。
「…雅紀?」
ソファに座る背中に話しかけても、すぐに返事が返ってこない。
「雅紀?」
漸く気づいて、俺を見上げる。
「どうしたの?」
「…ん?どうもしない…」
そう言って、儚げに微笑む。
最近、映画のロケで地方が続いたから、雅紀とゆっくりする時間も取れていない。
ソファの隣りに座ると、肩を引き寄せた。
少し…痩せた?
「…甘えておいで…」
「え?」
「雅紀は…本当に悩んだ時は、全然甘えてこないんだから…」
「潤…」
ぎゅっとその髪に唇を埋める。
雅紀の甘い香りが、鼻孔に広がる。
「言えるようになったら…言ってね?待ってるから…」
普段は…ちょっと位の嫌なことはすぐに俺に言って発散してる。
何も言わないところを見ると”嫌なこと”はちょっと深刻みたいだ。