第11章 グレイscene4
「風磨、こっち来いよ」
「あっ…兄貴!」
前室で風磨を呼ぶと、前にやった時計を出せと言ってみた。
「持ってきてます!」
「大事に使ってるかチェックしてやるよ」
「ふふ…大事にしてますって!兄貴に貰ったものなんだから」
風磨はかわいい後輩で。
俺のこと兄貴兄貴って慕ってくれて。
修の他に、弟がもう一人できたみたいだった。
大学の後輩でもあるし、事務所の後輩の中では特別かわいがっている。
ちらり、視界の端に智くんとニノが見えた。
こちらを見ながらこそこそ話し込んでる。
どうしたのかな…?
「兄貴、今度、前言ってた店行きません?」
「ん?ああ、いいよ」
「いえーいっ…あの…修くんも誘って貰えますか?」
「え?いいよ」
「やったー…」
風磨の狙いは、修なんだよな…
だから俺のこと兄貴って呼ぶ。
”修の兄貴”だからだ。
全く、兄弟揃ってそういう気があるのはどうかと思う。
修の方は、まあ狙われてる側だけど…
悪い気はしてないみたいだからな…
ぞわっと背筋を冷たいものが走っていった。
スタジオの前から収録はスタートした。
風磨の主演するドラマが土9だから、繋がりって感じを意識して、こんなところからスタートする。