第11章 グレイscene4
ツー…ツー…ツー…
これでもう何件目…?
スマホの留守番電話に残るメッセージは、無機質な音。
何回も何回も掛かってくるそれは、止まることがない。
迷惑行為で電話会社に連絡を入れても、番号を変えてまた掛かってくる。
こちらが番号を変えても同じ。
何ヶ月、こんなことが続いているんだろう。
映画のロケで暫く空けていた我が家に帰ると、ドアに掛かるビニール袋…
嫌がらせが続いていることを知っているマネージャーが家の前まで着いてきていたので、俺を止めてその袋を確認した。
「うっ…」
そこには鳥の死骸。
青ざめるマネージャーを帰して家に入ると、その袋をゴミ箱に入れた。
心が、擦り切れていた。
でも俺にはやることがある。
冬に控えるコンサートツアー。
いくら時間があっても足りなかった。
だるい身体を引きずってリビングまで行くと、そこに崩れ落ちた。
カバンの中でスマホが鳴動している。
また…くる…
無意識にカバンからスマホを取り出して画面を見ていた。
そこに表示された名前を見て、涙が出た。
「もしもし…」
思わずスワイプしてその声に縋った…
『もしもし?潤くん…』
「ニノ…」
『あのさ、俺のソロのことで……どうしたの?』
「え…?どうも…しないよ…?」
声が震えるのをなんとか抑えた。
ニノの声を聞いて、張り詰めていた糸がぷつんと切れてしまった。
頬を伝う涙を止める術を俺は知らなかった。