第7章 ショコラscene3
長い時間、待った。
先生はまだ来ない。
奥さんは俺の気を紛らわせようと、いろいろお話してくれるけど、全然頭に入ってこなかった。
3時間が過ぎる頃、やっと襖が開いた。
「先生っ…」
「大変お待たせしました。別の部屋へ行きましょう」
「えっ…翔ちゃんには会えないんですか?」
「今、眠っています。寝顔をご覧になるだけなら…」
そっと客間に入ると、ソファの上に横になる翔ちゃんが居た。
奥さんが毛布を持ってきてそっと翔ちゃんにかけた。
「翔ちゃん…」
その顔は青白く、少し窶れたみたいだ。
髪を撫でると、少し微笑んだように見えた。
「相葉さん、それ以上はいけません」
先生が厳しい顔で俺を見た。
「さ、あちらの部屋に行きましょう」
隣の部屋を通って、廊下に出る。
その廊下の突き当りの右の部屋へ入る。
そこには小さなテーブルが置いてあった。
畳を踏みしめて中に入ると、先生に座布団を勧められた。
「ありがとうございます…」
「いえ…お辛いでしょう…」
「先生…」
先生は眼鏡の奥で悲しそうな目をした。
「相葉さん…大変申し上げにくいのですが…」
先生の言葉に、思わず身体に力が入った。