第2章 グレイscene3
「あなた…」
妻は…
結婚した当初は、健康だった。
だが、度重なる流産と出産で今は身体が健康とはいえない。
「こちらへ…」
抱き寄せると、痩せた肩が痛々しかった。
「私が居ない間、あまり無理をしてはいけないよ…?」
「はい…」
「精のつくものを食べて、養生するんだよ?」
「でも…子どもたちに…」
「裏のおばさんに、卵を分けて貰うよう頼んだから…」
「あなた…」
こんな状態で戦地に行きたくなかった…
だが、今の日本の戦況はもう…
「千人針…ありがとう…和…」
「あなた…こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが…」
「言うな…」
「あなた…!」
和が胸に飛び込んでくる。
「お願いします…!どうか…どうかご無事で…」
「和…」
妻の細くなった手首を掴むと、顔を上げさせた。
「必ず…帰ってくるから…」
「あなた…」
「約束…」
小指を出すと、和は手のひらで包んだ。
「あなたが約束を破ったことなんてないですから…」
そう言って涙に濡れた目を上げた。
「お願い…抱いて…?」
「和…」
「お願いします…あなた…」
明日には南方の戦線に旅立つ。
次はいつ帰ってこられるかもわからない。
そんな不安が、妻を大胆にさせていたのだろう。
「ああ…」
妻の細い肩を布団に横たえた。
身体の弱い妻の為に、居間には布団を敷いたままだった。
その上に妻を横たえると、寝間着の紐を解いた。
「あまり…見ないで…」
やせ衰えてしまった身体を隠すように妻は腕を閉じた。
「見せなさい…綺麗だ…」
「いや…」
恥じらって閉じる腕を無理やり開く。