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カラフルⅢ【気象系BL小説】

第2章 グレイscene3


「あなた…これ…」

和は俺に、千人針を差し出した。

「近所の奥さん方に…お願いしました…」
「和…」

そっと受け取ると、糸の感触が指に伝わる。

「ありがとう、と…」
「はい…お伝えしておきます…」

そういうとまつげを伏せた。
見る間にそのまつげには綺麗な水の雫がついた。

「ほら、皆、お父様にご挨拶なさい…」

涙を拭いながら和が言うと、子どもたちが前に進んだ。

「父様、お国のため頑張ってください」

10になったばかりの翔が畳に手をついて頭を下げる。

「とーさま、がんばって?」

智は幼いからまだわけがわかっていない。
そのまま俺に抱きついてくる。

「とーた…だっこ…」

潤の小さな手のひらが俺の頬を撫でていく。
智と潤を両腕に抱えながら、翔の頭を撫でる。
翔は目に涙をためながら、俺に抱きついてきた。

「父様…ご無事で…」

こんなこと外で言ってはならないが…今は家の中だ。

「ああ…ありがとう。翔…」

潤と智を畳に降ろすと、三人とも腕に抱えた。

「皆、母様を守るんだぞ…?」
「はい、父様…」

翔が泣きじゃくりながら答えると、下二人も頷く。

「男が泣くんじゃない。それじゃあ陛下をお守りできないぞ?」
「はい…父様…」
「翔…お前が一番年長なんだ。母様のこと、頼むな…」
「はいっ…」

こんな幼い肩に重責を背負わせたくはない。
だが赤紙が来てしまったからには、逆らうことはできない。
でも、今頼れるのは…子どもたちしか居ない…

この身体の弱い妻を残して行かなければならないのだから…

「さ、皆もう寝なさい」
「はい…」

翔が二人の兄弟を連れて行くと、居間には和とふたりきりになった。

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