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〈刀剣乱舞〉もしも、明日………

第7章 第六章 夢を見るのは、生きている者だけらしい


「「岩融さん!」」
バタバタと駆けてきた二人を見て、岩融は微笑んだ。
「よくやった」
それだけ言って二人の頭を順に撫でる。
(さぁ、あとはお前次第だぞ。)
木の上の少女を思う。
彼女は、また誰よりも強い眼で前を向いていた。

彼岸花は、大きくなる羽音に唾を飲んだ。
亜種は、彼岸花達の作戦通り開けた池へと降りてきた。
(そうそう。木々のなかには流石に入れないもんね)
上手くいったことにほくそ笑みながら、タイミングを見極める。
(そろそろ、かな………)
そう思い、しゃがんでいた姿勢から立ち上がるが、その瞬間自身の本体が邪魔であることに意識が言った。
(ごめん、落とす)
本体を木から放り投げた彼岸花は、ガッと木の枝を蹴り、しなる枝に一瞬身を任せて………跳んだ。
「!」
少し下にいる亜種と目が合う。彼岸花ニヤリと笑った。
そして奴の背中に転がると、そのまま勢い余って落ちそうなのを奴の羽を掴むことで堪えた。
奴が暴れだす前に、秘密兵器『岩融さんから借りた数珠』を取り出す。
後はもう、どうするか解るだろう。
数珠を亜種の四枚羽の内左二枚に通して、根本から緩く囲む。
所詮は数珠なので、しつこくなんども囲んだ。幸いなことに長さはある。
最後にその輪を一気に閉じれば、これで彼岸花の役目は終わりだ。
片方の翼が使えなく亜種に、それ以上飛行する術はない。
彼岸花と亜種は、空気の抵抗を受けながら、池へと落ちていった。

大きな水飛沫が上がる。
その水飛沫で虹が小さくかかったが、それを意識するものはいない。
「前田、平野、下がっておれよ」
前田と、平野に念を押して岩融は獲物が這い上がってくるのを待った。
先ず、上がってきたのは彼岸花。それと同時に亜種も上がってきた。
亜種へと近づく岩融は、片足を軸に本体を振り上げた。
そしてそれを使い先ず、横凪ぎに一閃。
そこから、一気に切り続けた。
心臓も内蔵も脳も舌も目も。全てが見えなくなって、区別がつかなくなって、意味もなくなる位。きった。
血飛沫が顔にも服にも掛かるが、無視してきった。
だから、その無視した事のなかに、自らの命を害するものが有るなんて気付かなかったのだ。
不意に、視界のはしで動く黒い何か。
虫かと思って意に介して無かった岩融。
「岩融さん!」
声が、岩融の危機を叫んだ。
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