第16章 レイン
海辺にある、広い墓地。
なんにもないところに、いくつも墓標が立っている。
この中に、潤の墓がある。
強い風が俺たちに吹き付けてる。
「潤…」
呼びかけに答えるものはない。
だけど、呼びかけずにはいられなかった。
「俺たち、一緒にやってくよ…」
和也の手を握りながら、潤に話しかける。
「おまえが結びつけてくれたんだからな…」
和也がすんっと鼻を鳴らした。
「泣くなよ…」
「だって…ちゃんと報告にきてくれるなんて思ってなかったんだもん…」
「ばか…こういうことはきちんとしとかねえとだめだろ?」
墓標は、当たり前だけどなにも言わない。
「潤…ありがとう…」
やさしい風が、俺達を包んだ。
”大野さん…和也を愛してあげて…”
風に乗って、潤の声が聞こえた気がした。
「ばーか…お前らのこと、ずっと愛してやるよ…」
「大野さん?」
「なんでもない。行こう…」
墓標に添えられたホワイトローズの花びらが一枚、宙に舞った。
【終わり】