第10章 コーヒー
ゴーリゴーリ…
「なあ…いつまでやってんだよ…」
「だぁって…こっちのほうが絶対香りがいいんだよ?」
「そりゃ…いい香りしてるけどさ…」
さっきからずっと雅紀は、コーヒ豆を手挽きミルで挽いている。
「いつ終わるんだよ…」
「だぁからあっちで待っててよ!智!」
ぐいぐいと身体を押されて、台所を追い出された。
「なんだよ…つまんねー…」
頭を掻きながらリビングに戻り、テレビを点ける。
まだまだ台所から音が聞こえていたから、口をあけてテレビに見入る。
なんだよ…折角二人っきりになれたのに…
ま、雅紀はそんなこと思ってないだろうけどさ…
同じ年に今の会社に入って10年。
同じ年に入社したけど、雅紀のほうが年は下。
俺は地元の企業に勤めていたんだけど、趣味が高じて今の木工所に転職したのだ。
今は、タンス作ったりしてる職人をしてる。
その転職は成功だったといえる。
だって10年も続いているんだから。
でも…
理由はもう一つ。
それが、コイツ。
「智ー!ねえ!」
「なぁんだよ!うっせえな!」
台所に行ってみると、ニコニコ顔の雅紀が振り返る。
ドキっとした。