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孤独を君の所為にする【歴史物短編集】

第23章 Sad Monster【ドリフターズ】


が消えて仕舞いそうな気がした。

悲痛に叫ぶが、俺を残して何処かに行って仕舞いそうな気がしたから、此処に留まらせようと縋り付く。

そんな情けねえ俺を、は優しく抱き締めてくれた。


トクトクと規則的に鳴るの鼓動を感じながら、そこに被さる様にまた総司の声が聞こえる。


『本当に?
 それでいいのかい?』


『《こんな終わり》でいいのかな
 《こんな終え方》でいいのかな』


「良い訳が無いだろう!
 俺は何度もお前等を呼び出そうとッ……」

雨に濡れ冷えきった身体をカタカタと震わせて、更にへとしがみ付く。

そんな俺を慰めるの柔らかい言葉が頭上から降り注いだ。

「土方殿……大丈夫ですよ。
 大丈夫。」


ああ……

総司の声が聞こえない。

消える。

消えっちまう。


「消え無ェでくれろ。」


「俺ぁ一人(しとり)にしねぇでくれろ。」


「………何処にも行かねぇでくれろ。」


今、自分が震えているのは凍えからでは無く、《孤独》だからなのだと気付いた時……

「はい。」

が一片の迷いも無く答えた。

「はい、土方殿。
 私は何処にも行きませんよ。」

「………本当…か?」

「はい。」

その凛とした声にの腕の中で恐る恐る顔を見上げれば、純一無雑な視線が俺を見下ろしている。


「ああ……」

何かに取り憑かれた様にをその場に押し倒し、もう二度と逃してなるものかと組み敷く。

そして俺との唇は引き付け合う磁石の様に、隙間無くぴったりと重なった。
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