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血の争い【黒子のバスケ】

第8章 思い出の欠片


氷室は結紀の一瞬の隙をつき、首元を掴みそのまま花畑に押し倒す。結紀が暴れないためだった。咄嗟に、氷室に攻撃をしようとした緑間だったが…。

「緑間っち、よそ見はいけねぇスよ。」

「黄瀬っ!!」

黄瀬は大きな尻尾で緑間を吹き飛ばす。実に言うなら、鳥族は接近戦はあまり得意ではないのだ。押し倒された結紀は氷室を睨み付ける。

「Sorry、レディにこんな事をさせるのは、よくないことは分かっているんだ。」

氷室は結紀に謝っているが、瞳はどこか警戒しているようにも感じられる。吹き飛ばされていた、華菜と華鶴はゆっくりと結紀の周りに集まる。そのまま結紀を見下す。

「ねぇ、この子連れて帰って拷問しない?アタシがやりたいわ~。」

華菜の表情はどこか楽しそうだったが、その笑みは結紀にとって最悪なもの。ドクンと…と大きく心臓が鳴っては、このままでは駄目だ、という頭の中で警告する。

「華菜ネェが楽しそうだ…。」

華鶴が呆れた表情をしている。それは、黄瀬も氷室もそうだ。華菜だけは敵に回しては後々が怖いと思っているに違いない。だが、誰も華菜の言葉には反論しない。拷問確定かもしれない。

氷室は未だに、手を緩める気は全くない。結紀の脳裏で、この状況をどうすれば…と考え始めていた。

「結紀、君は凄いよ。頭首にピッタリだ。」

突然と彰の声が聞こえてきた感じた。結紀は、ゆっくりと瞳を閉じる。

「名前を呼ぶだけで、僕たちはすぐに助けられる。だから、遠慮しないでね。僕達は君の味方だ。」

―――こんな時も、何故、彰の言葉を思い出すのだろう。
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