第20章 グレイ scene2
頭がぼーっとする。
正月休みが明け、生放送が終わって、俺はフィリピンへ取材へ行った。
日本と違って暑く、しかもレイテ島のホテルは設備が安定していなくて、水のシャワーを浴びたりしていたら、見事に風邪を引いて日本に帰ってきた。
タイミングの悪いことに、帰ってきてすぐに、新曲のPV撮り。
しかも今回はスタジオじゃなくて、オールロケ…
病院で点滴を打ってもらって、薬を飲みながらなんとか現場に入った。
「翔くん…どう?」
楽屋がわりの部屋に入ると、智くんが駆け寄ってきた。
「ん…点滴打ってもらったから、なんとか…」
「そっか。横になるところ作ってもらったから…そっち行こ?」
智くんに支えられながら、隣の小さい部屋に入ると、エアーマットレスが置いてあった。
「必要な時は呼んでくれるよう言ってあるから、安心して眠って?」
そう言って智くんは俺の手を握ってくれた。
「ありがとう…智くん…」
ちゅっと額にキスしてくれて、俺はとろとろと眠りに落ちていった。
今回は斗真がゲスト出演してくれたのに、ほとんど喋ることができなかった。
休憩時間はほとんど、小部屋で寝ていたからだ。
ずっと智くんが傍で付き添っていてくれた。
撮影がオールアップした時、斗真に礼を言ったけど、すぐに生放送だったから現場を後にした。
智くんが心配そうに見てるのに手を小さく振って、移動車に乗り込んだ。