第20章 グレイ scene2
二人でベンチコートを着込んで、ひつじを見に行った。
「わーすごい…本当に目が気持ち悪い…」
翔ちゃんがじっと羊の目を見つめている。
「悪魔…うおっ…」
ちょっと突進してこようとしてるひつじにビビってる。
「なんだよお…」
思わず笑ってしまって。
翔ちゃんも笑った。
「で、なに?話って」
「ん…雅紀、大丈夫?」
「え?」
「無理、してない?」
「…してないよ…?」
翔ちゃんは柵を掴みながら、身体を少し後ろに倒して上を見上げた。
「俺はさ、大丈夫だよ…だけど、雅紀が辛そうな顔してるの、見てるのがしんどい」
「え…?俺、そんな顔してる?」
「うん。皆、心配してる位ね」
思わず顔を撫でた。
「俺のことなら、もう気にしないで。雅紀の気持ちわかるから…だから、そんな辛そうな顔、しないでよ」
「翔ちゃん…」
「ごめんね。俺が好きだって言ったりしたから…」
そう言って翔ちゃんは俺に背中を向けた。
「雅紀の気持ち、かき乱してごめん」
歩き出した背中になんて言えばいいのかわからなかった。
俺は、後悔なんかしてない。
あの時間は、二人で過ごした時間は俺にとってとても幸せで、なくてはならないもので…
そう、なくてはならないもので…
俺には、翔ちゃんが…なくてはならないもので…
「翔ちゃん…」
「だから、もう忘れようよ。お互い。ただのメンバー同士に戻ろう?」