第19章 不言色(いわぬいろ)
「翔ちゃん…」
ミーティングが始まる前、飲み物を買いに行くと、雅紀がついてきた。
「…なんだよ」
ベンチに腰かけようとしてたけど、メディア棟まで歩くことにした。
いつもの場所に着くと、雅紀の顔を見た。
「翔ちゃん、ごめんね…」
「雅紀…」
「あんな真似しといて、許してもらおうとは思わない。でも、謝らせて…」
雅紀は深々と頭を下げた。
「傷つけてごめん…」
「いいから…頭、上げろよ…」
「二人は俺に、ちゃんと誠意を見せてくれようとしてたのに…俺…あんなことして…」
「だから大丈夫だから…」
「許さなくていいから…」
「いいよ…許すも許さないも…和也をお前から奪ったこと、事実だし」
「翔ちゃん…」
「だから、気にすんなよ」
「でも俺、翔ちゃんのこと…」
「もう…それだけは言うな…」
「…ごめん…」
ごめんな。雅紀。
俺、お前のこと…
「お、なんだよ。お前らこんなとこで」
「あ、松岡くん。おはようございます」
「松兄!おはよう!」
「てめえ、何タメ口きいてんだ」
ぐしゃぐしゃと雅紀の髪を撫でている。
「やーだ!松兄やめてよ!」