第7章 虫襖-ムシアオ-
暗い海の底。
きっとこんな風景なんだろうな。
雅紀が鍵を返しに来てから、俺の世界は真っ暗になった。
相変わらず、潤は俺に溺れて離してくれない。
あの日から、ほぼうちに住んでる。
雅紀の持ってた合鍵は、すぐに潤のキーホルダーについた。
毎夜、潤に責めさいなまれて、身体が重い。
でもやめることができなかった。
快感に溺れていれば時間が経った。
なにかしていなければ、息もできそうになかった。
雅紀が照らしてくれないから、どこに行けばいいかわからなかった。
ただ、潤の作り出す泥沼にずぶずぶと半身を沈めているだけの生活。
そんな俺に、潤は満足していた。
いつもうっすらと笑みを浮かべていた。
「和也、おいで」
そう潤が言うと、俺は引きずり込まれるしかなかった。
快感の淵に。
それはどんな時も、どんな場所でも関係なく始まる。
「あ…だめ…」
「いいだろ…?翔くんともシたんだろ?ここで」
「あの時は…」
「商売だったからいいの?」
「違う…」
「じゃあ、今日は金払う」
懐から分厚い封筒を取り出した。
「最初からそのつもりだったんじゃん…」
「わかった?ふふ…」
艶やかに微笑むと、俺のズボンを脱がせた。