第52章 初恋苦し（北信介）完結

朝練の風景を眺めながら
たまに流れて来る視線と
笑顔に一人でニヤニヤしてしまう

侑が彼氏…夢やないんやなぁ…

スッピンでニヤけるとか
不気味やないやろか？と
ニヤけを自覚するたび
頬をパンパンと叩き
必死に表情を元に戻すけど
それも、そろそろ痛くなって来た

その時

「何回叩くねん
顔腫れるから
もう止めとけよ」

後ろから掛けられた声

『北さん！いつの間に！
てゆっかいつから見てたんですか？！』

振り返ると
いつも通り真面目さが全面に出てる
キリッとした顔の北さん

少しだけ違うのは
視線が合わず
少しだけズレてる

『なんか付いてます？
寝起きやから…もしかしたら
ヨダレの後、とか？』

もしそうやとしたら
笑われへんと思いつつ
口元やらほっぺたを
ゴシゴシ擦ると

「そっちちゃう。
コレ…侑の仕業か？」

北さんの指が
アップにした事で
丸見えになってる
首筋に触れた