第52章 初恋苦し（北信介）完結

私は侑の事が好きで
それはずっと伝えて来たのに
なんで今更…

悲し気な声に振り返ろうとした
私の頭が

「…そこは
"ダイスキ♡"って
言う所やろ！
女子力上げろ、アホ」

派手な音を立てて叩かれ

「行くで、チンチクリン！」

グンッと手を引かれる

『誰がチンチクリンや！
この暴力オトコー！』

大袈裟なリアクションついでに
見上げた顔は
いつもの意地悪そうな侑で
私もいつも通り
ドキドキしてて

『侑、昨日はごめんな？
なんか、帰ってしもて』

素直に溢れた言葉

「なに気にしてんねん
オマエはオマエが思った通りに
行動したらエエ。
チャント周り見たら
もっと色々見えて来るさかいな」

ヨシヨシと撫でられた頭
私に語り掛ける顔は
とても優しい

チャント周りを…か。
侑は何を見せたいんやろ。

何かを私に
気付かせ様としてんやろか。

まだこの時は
何もわからないまま
握られる手の
暖かさに甘えてた

それが痛みを生み出してるとも
知らないで。