第52章 初恋苦し（北信介）完結

慌てて離した手を

「誰も居らんから
気にすな。
それより…早よ、食わせぇ
俺、腹ペコやねん」

侑がシッカリ握って

私を家へ引っ張りこむ

腹減り？
食わす？

『ご飯？』

「アホか。
…オマエを食わせろ言うてんねん
可愛がったるって
言うたやろ？」

あぁ、そうか。
そういう事…やんな
だって、付き合ってるんや…し

「姫凪…」

耳に落ちる声
頬をなぞる指

『あつ…む』

擽ったい感覚に
肩を竦めると

「こういう時は
目ぇ閉じんねんで
…姫凪…」

瞼に優しく当たる唇
言われるままに
目を閉じると
フニッと唇に
なにかが当たる感覚

キ、キス…してもた……！？

パチリと目を開けると
侑の顔はもう遠くへ行ってて
少しだけ耳が赤い

『侑…』

もっとしたい、とか

「…部屋行くで
大丈夫や、イキナリ襲ったりせぇへんから」

思うのはヘンかな？？

再び繋がれた手
ドキドキは増す一方。