第21章 銭湯へGo!
昭和の古き良き時代の風情を存分に感じられる場所…と言ったら私はやはり”銭湯”を思い浮かべる。
煙が立ち上る煙突は勿論のこと、純和風の建築美。
”湯”と書かれた暖簾を潜れば出迎えてくれる”下足箱”と書かれた”下駄箱”。
そしてもう一つの暖簾を潜ると、そこには一段高い所から客をもてなすための”番台”。
この畳半畳程のスペースに、私は背中を丸めて座る。
そう、私の職場は”銭湯の番台”だ。
この番台の仕事、一見するとただ座ってるだけに見られがちだが、実際はそうばかりではない。
なかなかどうして興味深い場所なのだ。
まるで要塞のように囲むショウケースには、石鹸やシャンプータオルなど入浴に必要なアイテムがずらりと並んでいる。
そしてここからの景色はまた格別で、脱衣所が全て見渡せる作りになっている。
そう、裸も見放題ってやつだ。
さあて、今日はどんなお客さんがやって来るのか…
私の胸は期待に膨らむばかりだ。
『ねぇねぇ、これどっちにはいればいいの?』
『俺はこっちに入るけど?』
『えぇ~、じゃあこっちに入るしかないじゃん!』
『それでいいんじゃないの?』
おやおや~?
なにやら揉めているようですね?