第5章 N×A【ずっと、君だけに】
二宮side
「よしっ」
ゲームをセットして、
コントローラーを握り、
俺のオフが始まる。
PLAYボタンを
押そうとしたそのとき。
携帯が鳴った。
画面を見ると、
いつもの人。
「…なに。」
「今暇?」
「暇じゃないから切ります。」
「え、ちょちょちょ、待って!」
「…はぁー…。」
まただ。
前のオフもこの人が
邪魔をしてきた。
「今日家にいる?」
「そのつもりですけど…?」
「じゃあ、家にいてね!」
そこで、電話は一方的に切れる。
……。
三分も無駄にした。
通話時間を見ながら舌打ちをすると、
俺は気持ちを切り換えて
もう一度コントローラーを握った。
…で、また携帯が鳴る。
「…だからっ!
何度も電話するなよ!」
「お昼ごはん食べたー?」
「食べてないですっ!」
そっか、って言って、
乱暴に切られた。
くっそ…。
明日、シバいてやる。