第5章 ◇8/10Birthday(ラビ)
ラビの表情はどことなく気になったが、それ以上に気にかかるのは南の体。
このまま固い机で寝かせ続けるのはよくない。
「とりあえず、もう休みだし仮眠室に運ぼうと思ってな」
「……いや、」
再びその肩に手を伸ばせば、素早く手首を掴まれた。
「休みなら南の部屋に連れてく。其処で寝かせた方がいいさ」
俺の手首を掴んだのはラビの手。
真っ直ぐに俺を見てくる顔は、真面目なものだった。
「オレが運ぶから」
一瞬躊躇したが、その真剣な顔には反論する理由なんて見当たらなかった。
ラビの南に対する想いは知っていたけれど、恐らく今そこに疾しい気持ちなんて抱いてない。
それは不思議と感じることができた。