第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「───ん…」
目覚めた世界は、真っ暗闇だった。
いつもは薄暗くても視界がわかる世界なのに。
恐らくまだ夜中なんだろう、日の出は先だ。
ぼんやりと回らない思考で体を起こそうとすれば、不慣れな痛みが体に走った。
「ぃ…っ」
お、お尻が………痛い。
「……まじか…」
精神的なものより身体的なもの。
体に刻み付けられた痛みが、回らない思考にあの出来事を思い起こさせてくれた。
思わず項垂れる。
段々と見慣れてきた暗さに辺りを見渡せば、此処がユウのベッドの上だとすぐにわかった。
ベトベトになったはずであろうシーツは取り外されていて、布団に包まる丸裸な体が二つ。
私と、それからこの部屋の主。
…涼しい顔ですやすやと寝てるなこの…。
隣の涼し気な寝顔に思わず鼻でも摘みたくなったけど、それより体のダルさが半端なくて目の前のベッドに沈んだ。
ばふりと立つ僅かな物音に、気配に敏感なユウが目を覚ますのは自然なことだったのかもしれない。
「…起きたのか」
「………ん」
小さな欠伸と一緒にのそりと隣で起き上がる気配がしたけど、私の顔は枕に突っ伏したまま。
無視したらほっぺたでも抓られそうな気がしたから、最低限に返事はした。
じんじんと痺れるお尻はさっきまでの出来事を思い出させてくれたけど、全ては憶えていない。
…途中で、意識がトんだ気がする。
あれは寝落ちるというよりは、気絶に近い。
最後に憶えてるのは……
"雪…ッ"
ユウの、獣の顔だ。
「………」
あ、なんかもっとお尻がじんじんしてきた…何意識してんの自分。
まだ薬の効果残ってるんじゃないのかやめろ。
意識なんてするんじゃない凹むから。