第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「確かにな。目の前には美味そうなもんがあるし」
「っ…て言う、か、なんでそんな元気なの…」
同じに高みに昇ったはずなのに、雪とは違い息切れもしていない神田の瞳孔は開いたまま。
「まだ一回しかイってねぇ」
「一回イけば充分だから!」
さらりと告げる姿に堪らず雪も抗議を上げた。
「充分?…よく言えるな、散々焦らしておいて」
「そ、それは…だから、男じゃ相手にできないと思ったからで…」
「なら問題は解決だな。男でも充分食える。寧ろ、」
汗で光る肩口に軽く口付けて、神田の指が程良く引き締まった雪の腰のラインを撫でる。
「すげぇえろい。今のお前」
「っ…そうさせたのは、ユウ、でしょ…」
「ああ。だから責任は取らねぇとな」
「!」
しまった、と顔を顰める。
しかし神田の口元に浮かんだ嫌な笑みが、既に何もかも遅いことを示していた。
「ま…待って!本当にもう無理だから!」
「そうか?お前、女の時より元気そうじゃねぇか」
「そんなこと…ッ」
「薬まで使ってんのに、そんなに息も上がってねぇし、意識だってはっきりしてるし、そうやって大声も出る。しっかり体鍛えてた甲斐があったな」
押し返そうと伸ばす雪の腕を掴み、一つ一つ指摘する神田の目視は的確だった。
女の身であったなら、こうもすぐには起き上がれなかっただろう。
日頃恙無く鍛錬に励んでいた賜物だ。
「え、ええと、いや、それは…っ」
しかしそれが逆効果になろうとは。
あんなに体の成長を喜んでいた日々のことが、遠い過去のように感じた。
「薬の効果はまだ残ってんだろ。切れるまで相手してやる」
「いいいいや!いやいいです!もう充分!充分気持ちよかっ───わっ!」
言い切る前に、胸を押されてぼすりと再びベッドに沈む。
組み敷きながら、雑に衣服を脱ぎ捨てる彼はまるで───
「俺は足りねぇ。今のお前が、もっと食いたい」
味を占めた獣のように見えた。