第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「───ぎゃん!な、何よ乱暴者ね…!」
「煩ぇ黙れ」
暫く引き摺ったオカマ野郎の体は、見つけた廊下の小道に連れ込んで壁に投げ付けた。
涙目で訴え掛けてもキモいだけだからな。
「テメェもリーバーが好きなら仕事の邪魔すんじゃねぇよ。男を立てるくらいしろ」
「まぁ、顔が良いだけの口の悪いガキンチョかと思ったけど、まともなこと言うじゃないの」
「あ?」
「そうよそれ。すぐ誰彼構わず威嚇すんのやめなさいよね。それにアタシ、シェリーはネコとして見てるから」
「…は?」
なんだ猫って。
あいつは人間だぞ。
「お前…そういう趣向の持ち主だったのかよ…」
「あらヤダ。盛大な勘違いしてない?アンタ」
意中の相手をペット扱いする奴かと思わず後退れば、心外だと言わんばかりの顔で奴は首を横に振った。
「アタシが言ってんのは立場の話よ。アタシがバリタチだから、ネコしか相手できないの」
「……何語だそれは」
全く以て意味不明。
宇宙語か何かか。
「ノーマルな子じゃ知らなくても当たり前よね…タチは攻め。わかり易くいえばアンタのこと。ネコは受け。今の雪ちゃんがそれに当たるわ」
「受け攻めって…もしかして、」
「アッチの事情に決まってるじゃない。男同士でもヤるこたヤるわよ」
想像したことはないが、男同士でもそういう関係性があるのはなんとなく知っていた。
つーかこいつ、リーバーのこと攻めるつもりで口説いてんのかよ。
……想像したら気持ち悪くなった。
「あ。このことはシェリーには内緒よ?抱く話なんてつき合う前からしたら退かれちゃうわっ」
それ以前に退かれてることに気付いてねぇのか、こいつは…。
「お手製の朝食は渡せたし、目標は達成したからこれで──」
「待て」
上機嫌に去ろうとするそいつの筋肉質な肩を掴む。
椎名は変わらずいつも通りの俺でいればいいと言ったんだ。
本当に雪も変わらず俺を見てるなら、その言葉に従ってやろうじゃねぇか。
「な、何よ?」
「口止めの代わりに一つ条件がある」
「条件?」
男だとか女だとか関係なく、俺にとってどういう存在か。
「男同士のヤり方ってもんを教えろ」
あいつに教えてやる。