第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「そ、そんなんじゃ…」
「ありがとうございます。彼女、可愛いですよね。僕の自慢なんです」
「っ雪?何言って…ッ」
「だから彼女に似合う小物とかあれば、いいんですけど。このお店にありますか?」
「勿論ですよ。メンズ物だって女性のお洒落アイテムになりますからね。確か───」
生き生きと小物選びをし出す店員さんを笑顔で見送っていれば、挙動不審なリナリーの視線が訴え掛けてきた。
他人がいる手前、下手に否定もできないんだろう。
それを良いことに、笑ってリナリーの手を取る。
「格好良い服選んでくれたお礼。折角だし、此処で何かリナリーに似合う物買っていこう」
「で、でも、私が好きで着飾ってたのに…」
あ、自覚はあったんだ。
途端にあたふたし出すリナリーに思わず吹き出しそうになって、なんとか笑顔で止める。
そういう無邪気なところ、可愛いよ。
「こっちも好きでやってるだけ。同じお店で買えたら、ほら。何気にお揃いになるし。それが嬉しいから」
「っ…」
そう言えば、また瞬いたリナリーの視線が足元へと落ちる。
なんだろう、さっきからその反応。
「…椛の言ってたこと、わかった気がする…」
「椛?」
なんでそこで椛?
「雪って、男になって格好良くなったよね…」
「そ、そう?顔は並だと思うけど」
「見た目じゃなくて、そういうところが」
そういうところって何。
そう問い掛けても、リナリーはそれ以上教えてくれなかった。
握った手は、離されることはなかったけど。
まぁ…なんか、リナリーがいつも以上に可愛く見えるから、いいか。
女の子とデートする男の心境ってこんな感じなのかなぁ。
握ったいつもより小さく感じる手も、幾分下に見える揺れるツインテの髪も、高く可憐な声も、なんていうか、全体でふわふわしてる。
柔らかくってあったかい。
つい守りたくなるような、そんな気持ちが湧き上がる。
女の子って、存在そのものが可愛いものなんだとつくづく感じた。