第7章 ◇サンタクロースと4人の子(ティーンズ組)
「大体あいつはサンタじゃな──」
「はいはい。欲しいものが手に入らなかったからって、サンタに八つ当たりは駄目ですよ。幾つの子供ですか」
「はー、ユウが相手じゃサンタも大変さなぁ」
「仕方ないわよ、神田だもの」
「んだとテメェら…ッ」
「それより朝ご飯食べましょ」
「そうでした、ジェリーさんの特製クリスマス料理ッ!」
「昨日もたらふく食ってたじゃんか、アレン…」
「昨日は昨日、今日は今日。別物です」
「ふふ、アレン君らしいね。ほら神田も行こう」
「俺を巻き込むなッ!」
わいわいと騒ぎ立てながら、バイキング形式の料理コーナーへと向かうティーンズ一行。
その姿を遠目に見ながら、聞こえてきた会話につい口元がにんまりと綻ぶ。
「…どうした南。顔、にやけてんぞ」
「えっ? ぃ…いえ! なんでもないです、なんでもっ」
そんな南を、横から覗き込んだ顔が胡散臭そうに見てくる。
薄いグレーの瞳に映し出された南の顔は、照れ臭そうに慌てて首を横に振った。
「そうか? 寝不足でも祟って思考回ってないんじゃないのか。隈が酷いぞ、お前」
「あはは…昨日、ちょっとやり残した仕事に追われてて…」
「昨日は非番だっただろ? 折角イブに休みを取れたのに、仕事で潰したのか」
「まぁ…はい」
「ったく…南らしいというか」
徹夜をしてしまったのは本当のことだから、酷い顔はしているのだろう。
呆れ混じりに、それでも心配も含んだ声をかけてくるリーバーに、南は申し訳なさそうに苦笑した。
徹夜はした。
しかしそれは仕事の為ではなく、アレン達へのプレゼントを作る為。
大変だったが、ああして和気藹々と楽しそうにサンタやプレゼントについて語る彼らを見れば、疲れも一気に吹き飛んだ。
頑張ってよかったと思える。
これなら来年だって彼らのサンタをやってもいい。