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センニチコウ-変わらない愛を永遠に-

第49章 カカオフィズ


Ken side

櫻井に呼び出されたはずなのに
個室で待っていたのは斗真

それだけで心臓がドキドキ煩かった

櫻井はたぶん…あんな映像をわざわざ見せるくらいだから

俺の気持ちには気づいた上で
呼び出したんだ…ってのはすぐにわかった

でも,いざ斗真を前にすると
何も言えなくて…

柄にもなく,何も乗っていないテーブルを見つめたまま動くこともできなかった

斗「…あ…とりあえず…なんか…頼みますか…?」

状況を理解した斗真が
おずおずと俺に声をかけた

健「うん…」

小さい返事だけ返した

「ビールですか?」とか「これ,頼みます?健くん好きですよね?」とか…

気を使って色々言ってくれるのに
俺は「うん」しか言えなくて…

斗「じゃぁ…頼みますね…」

諦めてタッチパネルで注文をして
メニューをメニュー立てに戻した

それをなんともなしに眺めていた

手持ち無沙汰になって
斗真がおしぼりに手を伸ばした時

思わずその手を掴んだ

斗「…っ…え?」

一瞬,ビクッと肩を揺らして
伏し目がちだった視線を上げて俺を見る

はっきり視線が絡んで…
ほんの少しだけ視界が揺らいだ

健「…俺,斗真が好き…」

そんな言葉だけが
溢れ出るように口をついた

俺の言葉に,大きな瞳が
落ち着かなく動いて視線が逸れる

それを引き戻すように
握った手にギュッと力を込めた

健「会えない間,斗真のコトずっと考えてた…ずっと斗真に会いたかった…俺が好きなの…斗真だけだから…」

視線を逸らされる前に一気に伝えた

斗真は俺から目をそらさずに…
でも難しい顔をして俺を見ていた

やっぱ…坂本くんには敵わないかな…

一瞬弱気になるけど
それを手に力を入れて逃した

沈黙の中,個室のドアがノックされて
仕方なくつかんだ手を離す

さすがに…見られるのはまずい…

斗真の手を掴んだ利き腕はすごく熱かった
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