第46章 ヒヤシンス
Sho side
翔「俺は…潤を幸せにしたい…」
たとえ俺自身の手でそれが出来なくても…潤が幸せなら…
そう思うけど…
そんなのは綺麗事…
実際,家庭を持って幸せな潤に
お祝いの言葉を言う自信なんてなかった
潤を誰にも…渡したくない…
突然,机に置いていた携帯が振動した
ディスプレイには〔松本 潤〕
いつものようにその画面に視線を落としていると
不意に携帯を取り上げられた
昌「もしもし?松本?」
翔「あ…」
勝手に俺の携帯に出て
俺がここに居ることを伝えた
昌「櫻井のこと迎えにこい」
最後はそれだけ言って
電話を切ってしまって…
携帯を俺に渡しながら
まっすぐ俺を見下ろした
昌「ちゃんと話し合って…お前たちの望む未来を二人で作れよ…それが本当に別れることなら…別れればいい…」
雅「絶対そんなことないよっ…」
松岡くんが低く響く声で呟いた最後の言葉を雅紀がかき消した
雅「そうだっ…結婚が無理でもさ,俺達みたいに一緒に住んだらいいじゃんっ!指輪も買ったり…」
昌「まーさーきっ」
言葉の途中で松岡くんに強く抱きしめられて
モゴモゴと胸の中で俺に訴えかけた
昌「それは,櫻井と松本が決めることで…お前が口出しすることじゃねーの…」
頭をポンポンと叩いて諭すように
胸の中へ言葉を落としていた
雅紀の優しさと松岡くんの包容力に触れて
逃げていた思考がクリアになっていくのを感じた
俺達の…未来…
俺と潤が決めること…
今まで全部自分で決めようとしていた事を…二人で…
雅紀と松岡くんにお礼を言って
マンションの外で潤の車を待った
何も整理なんてついてないけど…
そのままを潤にぶつけるしかない
その勇気を二人にもらった
松岡くんが俺達を見守ってくれて
雅紀が俺たちを信じてくれる
だから…
俺も潤とちゃんと向き合わなきゃいけないんだ…
暗闇の中に見知った車が浮かびあがり
ヘッドライトの鋭い光が
遠くから俺を包み込んだ