第28章 みかん
4月に入って、カズヤの高認試験の申し込みが終わった。
塾の判定はまずまず上がってきた。
正直、こんなに凄いとは思っても見なかった。
東大の理学部なんて、俺にはむりで。
しかも天文学部。
カズヤは生き生きと勉強していた。
時々、もう俺では手に負えない質問をしてくるようになった。
やっぱり塾に入れて良かった。
って…なんかお父さんっぽいな…思考が…
「翔さん、お疲れ」
カズヤの勉強を見終わって、リビングに行くと、ニノがコーヒーを入れてくれる。
「ありがとう、ニノ」
笑いかけると、可憐に微笑み返してくれる。
突然、抱きしめたくなる。
「ニノ…」
「ん…?」
俺はテーブルを拭くニノを後ろから抱きしめた。
「今晩、一緒に…」
その時、ばんっとリビングの扉が乱暴に開いた。
「にーの!一緒に寝よう!」
カズヤが枕を持ってきた。
「あっ!カズヤ、風呂っ!」
「バレた!」
ニノが怒ると慌てて、扉の向こうに隠れる。
「もー…皆、済んだんだから、早く入りなさい!」
「だって…」
「一緒に寝ないよ?」
「あっ!わかったからっ!にーの」
そう言ってカズヤはリビングの扉を閉めた。