第22章 オレンジscene1
校門の横に咲く大きな桜。
毎年毎年、大量の花を咲かせる。
新入生を微笑んで迎えてくれる、大事な桜だ。
花吹雪のなか、初めて登校してくる新入生たち。
みな、初々しくて可愛らしい。
苗字が縁起がいいからと、毎年この日は俺に校門当番が回ってくるのが恒例になった。
櫻井。
桜がついているだけじゃないか…
でもまあ、嫌いではない。
記念すべき初登校を拝めるのだ。
ここから生徒たちは大きく変化する年頃だ。
どんなに手がつけられない悪いヤツでも、この日だけは神妙に来る。
奴らのやらかしたことの後処理をしていても、ひん曲がった顔をみていても、この日のことを思い出せば耐えられた。
校門から先は、少し下って坂道になっている。
俺は校門の桜の木の下に立って、生徒を出迎える。
坂から生徒が生えてくるようにこちらに向かってくるのを見る。
俺をみると、口々に挨拶をしていく。
白衣を着ているから、すぐに先生だとわかるのだろう。
生徒の挨拶はきちんとしていて。
これが一ヶ月も経たないうちに、ちーっすとか、櫻井ちゃんおはよおとかに変わるのだが。
この日だけは神妙で。
それもまた楽しい。