第19章 シーモスscene1
「じゃ、じゃあばっくん行くぞ」
「うん!」
俺たちはそこに足を踏み入れたことはない。
事務所から固く行くなと言われていたからだ。
昔、餌食になった奴が居たから。
そこは、ノンケの男もゲイに変えると言われている街。
足を踏み入れるほうが悪いと、当時の俺は思ったものだが。
まさか、自ら行くことになろうとは思わなかった。
俺とばっくんは、入り口に立った。
だが勇気がでない。
足は入り口を通りすぎて靖国通りまで行ってしまった。
そのまま足はアルタ方面に向いてしまう。
郵便局が見えて、やたらとほっとした。
でも郵便局の手前の建物の中にある、階段から人が乱暴に降りてきて死ぬほどビビった。
その人物は高校の制服を着ていた。
その少年は髪を金色に近い色に染めていて、目がくりっとしていた。
ぱっと見、女の子に見えた。
一瞬ばっくんと二人で見惚れた。
「何見てんだよ…」
少年は睨んだ。
俺たちはこそこそ背を向けた。
あの少年、ゲイだ。
独特の雰囲気でわかる。
「オイ、アンタ達…」
バレた…?
恐る恐る振り返ると、少年は目を細めた。