第14章 ショコラscene1
「俺、ほんと翔ちゃんがいてくれるだけでいいから…」
こういうこと平気で言う。
「床でいいから、気にしないで寝て?」
「そういうわけにいかないって言ってるの」
「だって…」
「え?」
「翔ちゃん、寝相悪いし…歯ぎしり凄いし…だからシングルじゃ一緒に寝らんないよ」
俺は無言で、マウスピースを取り出した。
「雅紀、コレを見ろ」
「え?」
「これはな、歯ぎしりを防止するマウスピースだ。お前がうるさいって言うから作った」
「ええ!?マジで!?」
「お前がよく寝れないとかいうからだろ」
嘘。本当は歯がすり減るから、歯科医に言われて作っただけ。
でもこいつは面白いように真に受けるから、ちょっとからかった。
「翔ちゃん…ごめんね?」
枕に半分顔を埋めながら落ち込む。
「俺が、おばけ恐いばっかりに…」
こいつは霊感が多少ある。
大野さんは完全にある人だが、こいつのは少々程度。
はっきり見える大野さんとは違い、感じる程度。
でも逆にそっちのほうが恐いらしく。
大野さんはいつも悠然と幽霊の横を通り過ぎるらしいが、雅紀はその場所に来ると飛び上がって駆け出す。
そうすると、あちらも面白がって追いかけてくるってわけだ。