第8章 ワインレッドscene2
潤が着くまで、何をしていたか覚えていない。
気がついたら潤の来訪を知らせるチャイムが鳴った。
慌ててインターホンで確認して、オートロックを開ける。
そのまま潤が部屋に着くまで、部屋を片付けた。
床に落ちている雑誌を拾った時、これじゃまるで恋人を迎えるようだと動揺する。
部屋のチャイムが鳴って、潤が部屋に来た。
ドアを開けると、酒のせいか、少し頬を赤くした潤が立っていた。
「あ…」
潤が何かを言おうとしたが、何も言わない。
俺も、あえて何も言わず潤を招き入れる。
「お邪魔…します」
気まずそうに入ってくる。
潤が上がってくるのを背中で感じながら、一体これから何をしたいのかわからなくなっていた。
なぜこいつを家に呼んだのか。
俺は何をしたいんだ。
ケリをつけたい。終わらせたい。
そう、強く思っているのだが、じゃあ具体的に何をするのか。
皆目検討もつかない。
でも俺は、あんな試すような真似をしてまで潤を招いた。
俺自身もわかっていない、俺の心がそうさせたのか。
得体のしれない、黒い塊が足元から登ってくるようだった。