【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第4章 イタリア行き
「おぉ、待たせたな」
外には、マツノさんと一緒にお父さんも居る。
「お、お父さん……!!」
お父さんに声をかければ、お父さんはすまなさそうに笑った。
そして、大きな袋を渡してくれる。
「すまんな、鈴。急に決まっちまってよ、こんなモノしか準備できなかった。足りない物は、マツノさんが揃えてくれるさ」
おそ松さんが、変わりに荷物を受け取って渡してくれた。
中には、私の服やら使ってた小物やら、生活用品やレシピノートが入ってる。
「お父さん、ありがとう」
「――気にすんな。あっちは抗争やってっから、気ぃつけな。まぁ、お前なら大丈夫か」
抗争に気をつけろ。
それは、『巻き込まれないように』っていう意味。
マフィアやヤクザに近い女っていうのは、あらゆる意味で利用されやすい。
男より力が弱く、銃を持ってても余程の修練を積んでない限り使いものにならない。
実際、子供の頃から銃を仕込まれた一流スナイパーのお嬢がさんが居たけど、抗争に巻き込まれ、玩具のように扱われ、結局精神が壊れて自殺したから。
「はい、わかりました」
小さく頷くと、ドアは閉められた。
そして、私達は空港へ旅立つ。
窓から、見慣れた景色を眺めてた。
もう見れなくなるのかぁーって思うと、ちょっとだけセンチな気分になる。
「――寂しいのか?」
「ううん、そんなことないよ」
カラ松さんは、何か言おうとしたけど、おそ松さんが「シーッ」と言って止めてくれる。
察しが良いんだな、おそ松さんって。
「そういや、親父。何があったの?」
「んー? あぁ、ちょっと部下の一人が荷物を運んでる所を捕まったらしい。他の奴らが向かってるが、なかなか片付かないとかでな」
「へー、なんでこんな最悪なタイミングで」
私は、スーッと血の気が引いていく。
――もしかすると、もしかするのでは?
「マツノさん、完全に情報漏れてません?」
「えぇ? でもよぉ、鈴ちゃん。荷物を運ぶのはいつものことだし」
「幹部が居なくなるまで泳がせてたのが普通では? 後、そんな抗争になるんなら、なんで今のタイミングで運んだんですか?」
すると、その場の空気が一気に重くなる。
誰かのつばを飲む音がした。
「そういや、チョロ松ならそんなヘマしねぇな」
完全に、積んだ……?