第1章 厄介事はお断り
ハチが呻いた瞬間、殴られてた相手と目が合う。
すると、相手はニィっと笑った。
その笑顔は、確かに部屋の中で見た、『アイツ』だ。
「馬鹿じゃない? なんで、こんな状況なのに、笑ってんの?」
おそ松「へへっ、こんな状況、楽しまなくっちゃねぇ?」
血まみれでボロボロになった顔で、確かにソイツは笑ってた。
狂ってるとは思う。
でも、正直怖いとは思わなかった。
トド松「おそ松兄さん!!」
捕まってた奴らは、もう逃げ出してた。
周りを見れば、ボロボロな格好で緑パーカーの奴らがこちらへ着てる。
その反対方向からは、紫色のパーカーの奴が着てるが、こっちはスタンガンや鉄パイプ持ちで、怪我無し。
――不味いな。
しかも、F6を捕まえてたやつは、他のF6に捕まえられてボコられ始めた。
「ハチ、立て」
俺は、ハチを引きずるように立たせると、逃げようとするけど、そう上手く行くわけがない。
おそ松「いや~、君には悪いんだけどさー、俺、そのハチって奴に用あんだよね~?」
「――ごめん、今回は俺の躾不足だし。今回は貸しといて」
状況的に、どう見ても俺が介入しなくても、ハチは負けてた。
ったく、俺がしっかりしなきゃ。
俺は、赤パーカーの奴の頬に軽くキスをする。
すると、周りから「えぇっ!?」って驚きの声が聞こえ、キスされた本人も面白いくらい目を丸くしてる。
俺は、その隙にハチを引っ張って体育館を脱出。
「ほら、肩貸すから」
「ったく、思いっきり蹴りを入れやがって」
「それは、ハチが悪い」
外に出れば、青パーカーのF6が血まみれで倒れてる奴らの介抱をしてた。
遠くには、委員長も居る。
俺は、ハチに肩を貸しながら、委員長の近くに行く。
「委員長、回収完了」
「――!!弥八君!」
応急セットを持った委員長が駆け寄ってくる。
でも、近くにF6が居るし不味いな。
「委員長、ハチの部屋でやって」
俺は、委員長ごとハチの部屋に連れ込み、今回の騒動は終了。