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天剣は春色を映して

第1章 第一章


「っ!!」


宗次郎がいきなり私を引き剥がした。


私は宗次郎の手を肩に感じながら驚いていた。


そんなに・・・・・・そんなに私に抱きしめられるのが嫌だった・・・・・・?


「熊です」
宗次郎が私から手を離して日本刀を手に取った。


「え?」


熊・・・・・・?


私は宗次郎の視線の先を見た。


ヒグマが私達の方を見ている。


「きゃっ・・・・・・!!」
私は宗次郎の後ろに反射的に隠れた。


ヒグマがこちらへ走って飛びかかってきた。


シュッ。


宗次郎の姿が消えた!?


刹那、ヒグマが断末魔の叫びを上げて倒れた。


宗次郎の姿が現れた。


「凄い・・・・・・」


何、今の・・・・・・宗次郎の技。


ヒグマから血がダラダラと流れ出る。


「死んでるの・・・・・・?」


「はい。もう心配は無いでしょう・・・・・・あっ・・・・・・」


宗次郎が頭をポリポリとかいた。
そして私の方を向いて、


「ごめんなさい。これじゃオオカミが来そうです」
と申し訳なさそうに微笑んだ。


オオカミ!?
日本にオオカミって居たっけ?


ニホンオオカミなら・・・・・・確かにこの時代まだ絶滅してないかも。


「熊の血の匂いで・・・・・・勘付かれるかもしれません」


「じゃあ・・・・・・移動する?」


「いいですね、名案です」
宗次郎が微笑んだ。


そして私に近づいてきた。


また私を宙に運ぶの!?


宗次郎が私に手を伸ばす。


なんか・・・・・・宙を舞うのはいやぁあああああああ!!


「っ・・・・・・・・・・・・」


息が止まった。


宗次郎が私を抱きしめた。


「・・・・・・僕は・・・・・・また・・・・・・殺生を・・・・・・」
宗次郎が声を震わせて私を抱きしめる腕に力を込める。


「い、今のは仕方ないよ!大丈夫だよ宗次郎」


宗次郎が黙って震えている。


宗次郎・・・・・・泣いてるの・・・・・・?
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