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【おそ松さんR18】君がため

第36章 君がくれる口づけは《カラ松END》




***


それから、どのくらいの時間が経ったのだろう。


どうやら、わたしは、いつの間にか眠っていたらしい。

眠りから覚めた瞬間、自分がカラ松くんによって監禁されていることを思い出し、心が沈んだ。


「……カラ松くん。どこに行っちゃったんだろう……」


お腹……すいたなあ。

ずっと同じ体勢でいるせいで、身体も痛い。

喉もからからだ。


わたしは、首をひねって、手首を拘束している手錠を見た。

軽く引っ張ってみるけれど、そう簡単には外れそうにない。


「どうしよう……」


ここにずっといるなんて、もちろん嫌。

外に……外に出たい。みんなに会いたい。


わたしは、もう一度、手錠で拘束された腕を思いっきり引っ張った。

カチャンッ、大きな金属音が部屋の中に響き渡る。


幸い、足には何もつけられていないから、この手錠をなんとかすれば、外に出られる。

でも、どうやったら、この手錠をはずすことができるんだろう……


そのとき、わたしは、いつも耳の横につけているヘアピンの存在を思い出した。


身体をぐるりとひっくり返し、うつ伏せの状態になる。

そして、四つん這いのような体勢になって、なんとか拘束された手のところに頭をもっていく。

首が少し痛かったけど、なんとか指先で頭からヘアピンを抜き取ることができた。


……このヘアピン。

思い返せば、高校時代に、カラ松くんにもらったヘアピンだった。


青い花の飾りがついた小さなヘアピンは、大人になった今でも、大切な宝物で。使い勝手もよくて。ずっと捨てられずにいた。

気に入っていた、というのもあるけど、やっぱりカラ松くんにもらったものだから、というのが大きいんだと思う。


そのカラ松くんにもらったヘアピンで、カラ松くんによってつけられた手錠をはずして、カラ松くんのもとから逃げようとしているなんて、なんとも皮肉な話だ。


わたしは、ヘアピンを口に持ち替えて、手錠の鍵穴部分にヘアピンの先端を差し込んだ。



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