第31章 僕を選んで《トド松END》
……じゃあ、一松兄さんは?
さくらちゃんは、カラ松兄さんのことが好きだったはずだけど、今は一松兄さんと付き合っている。
つまり、今はカラ松兄さんではなく一松兄さんが好き……なはずなんだけど。
トド松「ねえ、カラ松兄さん」
カラ松「ん、なんだ?」
トド松「この前、さくらちゃんと一松兄さんが付き合ってるって言ってたでしょ? あれって、本人から訊いたの? てか、なんて説明されたの?」
僕がそうたずねると、カラ松兄さんは、頭にはてなマークを浮かべた。
カラ松「……? べつに、さくら本人の口から説明されたわけじゃないぞ?」
トド松「えっ……じゃあ、なんでさくらちゃんが一松兄さんと付き合ってるって思ったの?」
カラ松「ああ、それは……さくらと一松が愛し合っているところに出くわしたんだ。まさか、さくらも付き合っていない男と寝るような女じゃないだろ?」
トド松「……あ、え、じゃ、じゃあ、カラ松兄さん、一松兄さんとさくらちゃんがその……シてるところを目撃したの?」
となると……もしかして。
さくらちゃんと一松兄さんは付き合ってなんかいなくて、これはぜんぶカラ松兄さんの勘違いかもしれないってこと?
それか……カラ松兄さんに一松兄さんとシているところを見られてしまったから、付き合ってるってことにしてるだけ……とか?
確かに、よくよく考えれば、カラ松兄さんのことが好きだったはずのさくらちゃんが、いきなり一松兄さんに乗り換えるなんておかしい。
カラ松「……トド松は、さくらの話になると、いつも表情がころころ変わるよなあ」
トド松「えっ……?」
突然そんなことを言われてカラ松兄さんのほうを見ると、カラ松兄さんは、いつになく優しい表情で僕の顔を見つめていた。
トド松「…そうかな」
悔しいけど、カラ松兄さんは、たぶん、僕がさくらちゃんのことを好きだって気付いている。
だったら……
トド松「あのさ。カラ松兄さんは、さくらちゃんのどこを好きになったの?」
前から気になっていたことを、たずねた。