第1章 入学と出会いとあの日
月島蛍…
かっこ良くて、話すとなんだか心がほんわか暖かくなる彼との出会いから私は更に日曜日を楽しみにするようになった。
『蛍!おはよう!!』
「…僕のこと名前で呼ぶの?まぁ…嫌いじゃないけど。。」
思い切って名前で呼んでみたら〝嫌いじゃない”ってさ。
次の週もその次の週も彼と話していく内に私達は仲良くなり、ついには平日も会うようになった。
でも二人っきりで会うことはなくて、いつもなぜかゆうちゃんと月島兄が付いて来ていた。
そして気が付いたこと、最近ゆうちゃんと蛍がなんだか仲が悪い。
何かにつけて2人で意地を張り合ってる姿をよく見かける。
(ゆう:おい!お前!なんでにつきまとうんだよ!)
(蛍:は?別に遊んでるだけでしょ?あんたこそなんなの。いとこってだけで何の権利がある訳?)
(ゆう:けんりってなんだよ。難しい言葉ばっかり使いやがって!)
(蛍:ごめんごめん。バカに合わせて話さないといけなかったね。)
(ゆう:てめーーーー!!!)
またやってるよ。
いつも2人でこそこそ言い合いしてて内容までは聞こえないけど、逆に仲良いのかと思っちゃうくらい。
平日の誰も居ない体育館に来たのに言い合いしてる2人をぼーっと見ていると隣の月島兄に話しかけられた。
「蛍とはどう?仲良くしてる?」
『うーん。私は仲良くしたいけど、蛍は迷惑と思ってるかも。。』
「え、なんで?」
びっくりした様子で聞いてくる月島兄に、逆にびっくりしながらこの間の事を話してみる。
『この間蛍のこと名前で読んだら〝嫌いじゃない”って言われたの。
ってことは好きでもないってことでしょ?迷惑なのかなぁって思ってさ。。』
真面目な顔して相談したのに、月島兄の顔はどんどん笑顔になって仕舞にはお腹を抱えて笑い出した。
その声に反応して蛍とゆうちゃんも離れた所からこちらを見ている。
一通り笑い終わった月島兄は困惑を隠せない私に向かって頭を撫でながら教えてくれた。
「蛍の〝嫌いじゃない”は〝好き”ってことだよ。これからも蛍をよろしくな。」
(!!!)
どういうこと?嫌いじゃなくて好き?
蛍が〝好き”って言ってくれたってこと?